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2010年3月27日 (土)

ミャンマーの糸のこ一族4

糸のこ一族の旅立ち2

ミャンマーとユタカ王国の仲介を担当するM社と名刺交換を交わした。続いて、一緒にミャンマーに行く関係各社の方とも名刺交換を交わした。

俺は、今回の旅の詳細を聞かされていなかったので、わけがわからない状況であったが、とにかく矢野閣下のそばにいれば、何事もなくミャンマーへ行き、無事に日本に帰れる事を確信していた。

もちろん、腹の調子が悪くならなければの話だが。

さて、今時、珍しい天然記念物とは言わないが、実は俺は海外旅行は初めてだった。

しかし、俺は初めての海外旅行でありながら、ミャンマーについてほとんど下調べもせず、またミャンマー語どころか英語を喋ることもままならない。もし、矢野閣下とはぐれて、ミャンマーで置いてけぼりをくらったらどうなるだろうか。まるで小学生のような不安を抱いていた。

それ以前に、国際線の飛行機に乗るためのシステムもよくわからない。さらに、わかろうともしていなかった。とにかく矢野閣下にぴったりとくっついておけばよい、閣下のやることを真似すればよいと、まったく小学生のようだった。

荷物を預け、手荷物のX線検査を抜け、出国審査を終えた。

「ふ〜、何事もなく通り抜けられたぜ」

とくに余計なものを持ち込んでるわけでは無いのに、なんとなくビビっていた。

病院からもらった粉薬は半透明の袋に入っている。それがコカインと間違われるのじゃないかと、妄想と言えるような想像までしていた。

俺は覚せい剤の運び屋ではない。糸のこ一族だ。

我々はシンガポール経由でミャンマーへ向う。我々の乗るSQ0671便は11時に出航予定、時間はまだまだ余っていた。俺と矢野閣下は他の同行者と離れて、免税品ロビーを彷徨った。

 シンガポールで一泊して、明日の早朝の朝、ミャンマーへ行く飛行機に乗り込むことになっていた。

「搭乗口には10分前に入れば良いですから」

しばらく、椅子に座って話していたが、時間を持て余しそうだったので、今度は俺から切り出した。

「コーヒーでも飲みますか?」

さっきは断っておきながら、なんだかと思うかもしれないので

「僕はココアを飲みますね」と付け加えた。

ココアを飲みながら、我々は電動糸ノコ機械のメンテナンス等について話をした後、俺の体調の話に戻った。

「入院されていたんですか?」

矢野閣下が再びその質問をしてきた。

「なんでわかったんですか?」

「どれくらい前に入院してたんですか?一週間くらい前ですか?」

「まあ、そんな感じで、、、。」

まさか、一昨日退院したとは言えずに、いくらか話を濁しつつ、ある程度のことを白状した。

「昔、盲腸が破裂して大きな手術をしたんです。大きくお腹の手術をした人は、腸が癒着して、ときどきお腹の動きが悪くなり、腸閉塞になることがあるんです。食事もちょっと少なめにしますね。お酒も飲まないようにしますね。」

矢野閣下はとても理解のある人だで、俺と同じように何事に関しても、冗談や笑いに出来る方だ。そんな方だからこそ、ナルカリという電動糸のこ業界の異端児を矢野閣下は受け入れてくれたのだ。

家を出発前に妻とこんな話をしていた。

「矢野さんに、入院していた件を話した方が良いかなあ」

「そりゃ、言った方がいいでしょう。矢野さんならわかってくれると思うよ」

「そうだよね、矢野さんなら大丈夫だね」

今でも思う。この俺の入院事件は、今回のミャンマー旅行をさらに盛り上げてくれたと。多少のスリルがあるからこそ、旅は面白くなるものだ。

きっと、矢野さんも俺が旅の途中で病に倒れたらどうしようと不安を抱いたことだろう。のっけからスリリングな思いを与えられたことは、俺の好プレーだ。

「父さん、明日は満塁ホームランだね!!」

何故か、牛丼の吉野家の昔のコマーシャルが思い出された。

以前に矢野閣下のメールでこのようなことを聞いていた。

「ミャンマーでは病気になったら這ってでもタイやシンガポールに行くようです。ミャンマーの医療事情は非常に遅れているようです。」

実際のところはわからないが、ミャンマーの医療事情が遅れていることは確かだと思えた。

さらに「今回はジャングルのようなところに行く」ということも聞いていた。

ジャングル?

そんなところで腸閉塞を患ったら、俺はもう生きては帰って来れないではないか。

実のところ俺はす〜〜〜〜〜ごく不安だった。身体に自信がなくなっていた。うんこがちゃんと出ていなかった。下痢っぽい便がわずかに出ていた程度だった。

妻が言うには「3日間ほど点滴しか身体に入れていなかったんだから、すぐに便が出るわけがないじゃん。今日、食べて、今日、その食べた便が出るわけじゃないんだよ。腸は長いんだからね」

その理屈はわかるが、自分としてはちゃんとした固さのある便が出るまでは、おそろしく不安だった。通常の状態と違うわけだ。本当に通常のお腹の状態に戻る事が出来るのかと、おそろしく不安だった。とにかく胃腸薬と下剤(お腹の調子を整える薬)を飲み、いつもの調子に近づけたい。そればかり考えていた。

しかし、人間は不思議なもので、楽しく話しているときは、そんなネガティブなことは忘れてしまう。この旅を思う存分楽しむことで、マイナスの思考は消え、それに伴い身体の調子は順調に快復にむかうのだ。それもまた事実だった。

そして、我々はついつい話し込んでしまっていた。


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