心の部分
糸のこパフォーマンスをやる人が、僕以外にちょこちょこと増えはじめているようだ。下絵なしでの糸のこの動物を切るというもののようだが、10年前には誰もやってなかったと思う。このことから電動糸のこの世界は10年前より進歩したといえるだろう。これは糸のこ業界や木工業会にとって非常に嬉しいことだ。
モノツクリエンターテインメントの時代の扉が若干なりとも開いたと言えるのかもしれない。
そういう中で、今まで、一人でいきがってやっていたと思っていたことが、もう一人ではないという現実となってきた今、僕はさらなるアイデアやテクニックを駆使して新しい糸のこ世界を提案しなければならないのかもしれない。これが僕に与えられた使命だと言っておこう。
そして、同時に糸のこを使った作品を、木工とか木のおもちゃというジャンルを超えた新しい作品へと引き上げていかなければならないことも示唆する。これまで、糸のこで絵画的作品もいくらかあるのだが、どうしても写真などを使った模写であったり、あるいは可愛い動物とか自然の景色とかを題材にした作品が多く、どこか木で作るという範疇の中で納まりすぎているような気もするのだ。
僕がアートとして感じる木工作品は、カラクリ系の作品が多いかと思うのだが、キャバレーメカニカルシアターのように、カムとかギア、クランクなどを利用したカラクリ作品には日本人の中にも優れた作品を作る人が増えていると思う。
カラクリ的作品は、もう既に素晴らしい作品が生まれている中、僕が新たな隙間にまず入りこむなら、平面という場所かもしれない。平面という部分は糸のこで作るという意味としても、十分に魅力を発揮できるジャンルなのだと言えるだろう。
木工の平面画は組木に代表されるように「可愛いさ」とか「木の美しさ」を表しているとか、あるいは「象嵌の技術の素晴らしさ」というものを目指してきたものが多い中で、僕にできることは、そういう部分ではなく、心の部分かもしれない。
心の部分かもしれない。
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